2016.08.26
[終活WEBセミナー]
正しい遺言書の書き方を知っておこう
遺言書を作成して相続トラブルを防ぐ
故人の財産をめぐって身内や血縁関係者が争う――。そんなトラブルが起きないように遺言書を作成しておくことも、終活でやっておくべきことの1つです。遺言書は遺書やエンディングノートとは違って法的な拘束力があり、誰に、どれくらいの財産を引き継がせるのかを指定できます。
また、遺言書があれば、相続人全員が集まって遺産分割協議を行う手間も省けます。ほかの終活と同じように、遺言書の作成も、大切な家族や友人への思いやりなのです。
“争続”事件の70%以上が遺産価額5000万以下!
「わが家には財産と呼べるものなんてないから、相続でもめる心配はないだろう」
「子どもたちはみんな仲が良いから、遺言なんてなくても“争続”にはならないはず」
そんな風に思ってはいませんか? 実は、相続トラブルは、財産の多寡に関わらず起こります。実際、最高裁判所が公表している平成26年の司法統計を見ると、全国の裁判所で調整が成立した遺産分割調停事件(8664件)のうち、遺産の価額1000万円以下のものが約32%、1000~5000万円以下のものが約43%となっています。
つまり、相続トラブルは資産家に限った話ではないのです。次の項目に当てはまる人は、相続の際にトラブルが起こる可能性あり。遺言書を用意しおくことをおすすめします。
<遺言書を書いたほうがいいケースの例>
・配偶者はいるが、子どもはいない
・子どもが2人以上いる
・相続人の関係が複雑(再婚相手に連れ子がいる、腹違いの子どもがいる等)
・相続権のない人(内縁の妻、息子の妻、世話になった人等)に財産を譲りたい
・相続人のなかに、相続をさせたくない人がいる
・分割できる財産が自宅のみ
・特定の相続人に譲る財産を多く(もしくは少なく)したい
・相続人が多数いる、あるいは、相続人同士の日頃のつき合いがない
・相続人がいない
なお、遺言書には下記の3つのタイプがあり、それぞれ書き方が異なります。いずれのタイプの遺言書を作成するにしても、一度、専門家に相談しておくと安心です。
遺言書のタイプ①自筆証書遺言
その名の通り、遺言者本人がすべて自筆で作成する遺言書をいいます。作成した日付、氏名も自筆でなければいけません。また、押印(実印がベスト)も必要です。3つのタイプのなかで最も手軽ですが、反面、有効性が問われやすく、無効になるケースもあります。
<メリット>
・思い立ったらいつでも自分1人で作成できる
・費用がかからない
・内容も存在も人に知られずにすむ
<デメリット>
・すべて自筆でなければならない
・紛失、未発見、隠蔽、偽造などの恐れがある
・専門家のチェックが入らないので無効になることもある
・遺族は家裁に検認(※)の申し立てが必要
※遺言書の偽造・変造等を防止するための手続きのこと
遺言書のタイプ②公正証書遺言
遺言者本人が証人2人と公証人の前で遺言の内容を口述し、公証人がその内容に基づいて遺言書を作成・保管します。費用がかかる、遺言の内容を公証人に知られる、といったデメリットがあるものの、3つの遺言のなかでは最も有効性が高い方法といえるでしょう。
<メリット>
・専門家が入るため、紛失、偽造、無効等の心配がない
・家裁での検認が不要
・自筆しなくてすむ
<デメリット>
・時間と費用がかかる
・証人と公証人とのスケジュール調整が必要
・遺言の内容を証人と公証人に知られてしまう
遺言書のタイプ③秘密証書遺言
自筆証書遺言と公正証書遺言の中間タイプ。遺言者本人が遺言書を作成し、証人2人と公証人に自分の遺言であることを述べて、遺言者・証人2人・公証人が封筒に署名・押印します。
<メリット>
・内容を誰にも知られずにすむ
・ワープロでの作成、代筆が可能
・偽造のリスクがない
<デメリット>
・費用がかかる
・専門家が内容をチェックできないので、要件不備で無効になる恐れがある
・遺族は家裁に検認の申し立てが必要
まとめ
遺産の多寡に関わらず、相続トラブルは起こります。遺族を無用な争いから守るためにも、遺言書を作成しておくといいでしょう。遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3タイプがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。自分に合った方法を見つけてください。